野鳥の巣を見つけると何だか嬉しくなってしまいますね。そこに卵から孵ったヒナがいれば喜びはひとしおです。
けれどもバードウォッチングをする際、ヒナが巣から落ちていたり、ケガをしていたりする場面に出くわすこともあるかもしれません。そんなときは一体どうすればよいのでしょうか。
今回は「ヒナを見つけたときにやるべきこと」についてまとめてみました。
目次一覧
野鳥のヒナを見つけたら、どうすればいい?
地面に落ちているヒナを見つけたら
まずは慌てず騒がず、そのまま見守りましょう。親鳥が近くにいても、人間が側にいると警戒してヒナに近づくことができなくなってしまいます。
野鳥のヒナは卵から孵って羽が生えそろうとすぐに巣立つので、巣から上手く飛べずに落ちてしまうことがあります。この場合、親鳥が給餌や誘導をするうちに少しずつ飛べるようになると考えられています。
ネコやカラスに襲われないかと心配で…
そのまま地面に放置しておいたら猫やカラスに食べられてしまうのでは?と心配になる心優しい方もいることと思います。もしその恐れがあるようであれば、ヒナを近くの茂みに置いておくこともできます。親鳥は姿が見えなくてもヒナの声で気づくことができるでしょう。
羽が揃っていないようなヒナが落ちていた場合は、近くに巣があるはずなのでそっと戻してあげましょう。その際、手袋や軍手をするなどして安全や衛生面に注意するようにします。
ヒナの巣立ちと成長について
ヒナの巣立ち
どんな野鳥にも共通して言えること、それは、自然界は弱肉強食であるということです。いつ自分たちが食料になるかわからず、生き残る方が少ないため、少しでもたくさん卵を産み、なるべく早くヒナを巣立たせなくてはなりません。シジュウカラ、ツバメ、ムクドリなどは卵から孵って3週間ほどで巣立ちますが、メジロやヒヨドリは巣立ちまでが10日間ほどしかありません。
ヒナの成長
ヒナの成長には虫が欠かせません。そして鳥は飛ぶために体重を増やすことができません。つまりコンスタントに食料を確保する必要があります。体重15グラムのシジュウカラでも、一年間に必要な虫は10万匹を超えるという試算もあります。
ヒナを育てるのが春~夏である場合が多いのは、栄養価の高い虫がたくさんいるからなのです。
ヒナを助けたい時にはこうしよう
助けが必要なヒナ
落ちているヒナが、明らかにケガや病気を患っている場合、もしくは希少種のヒナである場合など放っておけないと判断できる場合は、各都道府県の鳥獣保護担当部署に連絡しましょう。基本的にはその指示を仰ぐことになります。野鳥は許可なく捕まえたり飼ったりすることはできません。
なお、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)」により、保護のために飼育する場合にも許可が必要になります。
行政のアドバイスにより野鳥の救護や保護飼育に取り組んでいる施設に持ち込んで対応してくれる場合もありますが、必ずしも全てのケースを受け入れてくれるとは限りません。特にドバトやカラス、外来種などは対応してもらえないこともあるので覚えておきましょう。
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どうして人間が飼ってはいけないのか
たくさんのエサをヒナに与え続ければ育てられる場合もあります。けれどもヒナは巣立った後親鳥と過ごす短期間(1週間~一か月)の間に「どんな食料があるのか、どんな危険があるのか」を学ばなくてはなりません。つまり人間に育てられたヒナはそれがわからないので、自然界で生きていくことがなおのこと難しくなってしまうのです。
まとめ
ヒナを見つけたときにやるべきことについてまとめてみました。そんな場面にはできれば出くわしたくはありませんが、もしそうなってしまった場合は、おちついて状況判断をしましょう。そして判断に迷ったときは、躊躇せず各都道府県の鳥獣保護担当部署に連絡しましょう。